SLEEP SCIENCE
睡眠と血糖値の関係とは?
寝不足の翌日、なぜか甘いものがほしくなる。それには理由があります。眠りと血糖値が、互いに影響しあう話。

今夜から使えるヒントがあるよ
血糖値は食事の話、睡眠は夜の話。別々に考えがちですが、この二つは一本の線でつながっています。
血糖値とは、血液の中にあるブドウ糖の濃さのことです。食事をすると上がり、すい臓から出るインスリンというホルモンの働きで、細胞に取り込まれて下がります。この上がり下がりが、じつは眠りと深く関わっています。
眠っている間も、血糖値は調整されている
眠っている間、私たちは何も食べません。それでも脳はブドウ糖を使い続けています。そこで肝臓が蓄えていた糖を少しずつ血液に出し、血糖値を一定に保っています。
明け方になると、目覚めに向けてコルチゾールや成長ホルモンが分泌され、血糖値が少し上がります。これは暁現象(ドーン現象)と呼ばれ、からだが一日を始める準備をしているサインです。
睡眠不足は、インスリンを効きにくくする
健康な若い男性の睡眠を1晩4時間に制限し、6晩続けた研究があります。わずか1週間足らずで、糖を処理する力がはっきりと落ちました。十分に眠る生活に戻すと、その力は回復しています。
さらに別の研究では、睡眠時間は変えずに、音で深い眠りだけを妨げました。3晩続けただけで、インスリンの効きやすさはおよそ25%低下しています。
眠りの「長さ」だけでなく、「深さ」も血糖値に関わっているということです。睡眠が足りないと交感神経が高ぶり、コルチゾールも高めに保たれます。これらはどちらも、血糖値を下げにくくする方向に働きます。
眠りが足りないと、甘いものがほしくなる
睡眠不足になると、食欲をおさえるホルモン(レプチン)が減り、食欲を高めるホルモン(グレリン)が増えます。睡眠を2晩短くしただけで空腹感が強まり、とくに甘いものや炭水化物の多い食べ物をほしくなることが報告されています。
寝不足の翌日に甘いものに手が伸びるのは、意志が弱いからではありません。ホルモンがそう仕向けているのです。そして糖をとる量が増えれば、インスリンが効きにくい状態と重なって、血糖値の上下はさらに大きくなります。
夜は、同じ食事でも血糖値が上がりやすい
からだが糖を処理する力は、一日中同じではありません。体内時計の影響で、朝よりも夜のほうが処理する力が落ちることがわかっています。
さらに夜、眠りのホルモンであるメラトニンが出はじめる時間帯は、インスリンの分泌が控えめになる方向に働きます。からだが「もう食べる時間ではない」と判断しているのです。
そのため、同じ内容の食事でも、夜遅くに食べると血糖値は高く上がり、下がるまでにも時間がかかります。遅い夕食は、血糖値が高いまま眠りに入ることにつながります。
血糖値の乱れは、眠りも乱す
関係は一方通行ではありません。寝る前に血糖値が急に上がり、その後大きく下がると、からだは血糖値を戻そうとしてアドレナリンなどを出します。これが夜中に目が覚める一因になることがあります。
また、糖が急に吸収されやすい食事が多い人ほど、不眠との関連がみられるという報告もあります。よく眠ると血糖値が整い、血糖値が整うと眠りが深くなる。この二つは、良い方向にも悪い方向にも循環します。
まとめ
- 眠っている間も、肝臓とホルモンが血糖値を調整している
- 睡眠不足や浅い眠りは、インスリンを効きにくくする
- 寝不足になると食欲のホルモンが変わり、甘いものがほしくなる
- 体内時計の影響で、夜は同じ食事でも血糖値が上がりやすい
- 血糖値の乱れは、夜中の目覚めにもつながる
実践へ
夕食は、寝る2〜3時間前までにすませる。どうしても遅くなる日は、量を控えめにして、主食を少なめにします。
食べる順番は、野菜やたんぱく質から。食後に10分ほど軽く歩いたり、家事でからだを動かしたりするだけでも、血糖値の上がり方はゆるやかになります。
寝不足の翌日こそ、朝の光を浴びて朝食をとる。体内時計が整うと、その日の夜の血糖値も落ち着きやすくなります。
メラトニンヨガ™の夜の実践は、呼吸で交感神経を静め、深い眠りに入りやすい状態をつくります。深い眠りを守ることは、翌日の血糖値を守ることにもつながります。
参考
- Spiegel K, Leproult R, Van Cauter E. Impact of sleep debt on metabolic and endocrine function. Lancet. 1999
- Tasali E, et al. Slow-wave sleep and the risk of type 2 diabetes in humans. PNAS. 2008
- Spiegel K, et al. Sleep curtailment in healthy young men is associated with decreased leptin levels, elevated ghrelin levels, and increased hunger and appetite. Ann Intern Med. 2004
- Morris CJ, et al. Endogenous circadian system and circadian misalignment impact glucose tolerance via separate mechanisms in humans. PNAS. 2015
この記事は医療的な診断・治療を目的としたものではありません。糖尿病などで治療中の方は、食事や運動を変える前に主治医にご相談ください。睡眠に関する不調が続く場合は、医療機関を受診してください。